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品質の最高峰「魅力的品質」とは?


テスト業界に身を置いていますと「品質」という言葉は必ず目にします。テストの目的の1つであり、テスト活動の根拠でもあります。
先日、「ソフトウェア品質シンポジウム」(主催:一般財団法人日本科学技術連盟)に参加させていただきました。品質改善・品質向上の為に各社で取り組んだことの成果発表会の場となっていて「品質」とは何か?から考えるよい機会となりました。
今回、記事投稿の機会をいただきましたので、振り返ってみたいと思います。


目次[非表示]

  1. 1.「品質」の変化
  2. 2.「品質」の3つのレベル
  3. 3.魅力的品質のライフサイクル
  4. 4.まとめ


「品質」の変化

近年、ソフトウェアの世界では、品質の捉え方が大きく変わってきています。かつてのソフトウェアや製品の開発フローは、製品がリリースされるとその品質活動はほぼ終了していました。しかし、現代の技術環境では、製品やサービスのライフサイクルが変わり、リリース後も継続的に品質保証が求められるようになっています。
 
例えば…

「ソフトウェアのアップデートとパッチ」
 かつて:ソフトウェアはCD-ROMやフロッピーディスクなどの物理的なメディアで提供され、バグが見つかった場合でも、新しいバージョンをリリースするまで修正が難しかった。
 現代: オンラインでのアップデートが一般的になり、バグやセキュリティの脆弱性が見つかった場合、迅速にパッチを適用してユーザーに提供することが可能になった。
 
「IoTデバイス」
 かつて: 家電製品やガジェットは、一度販売されるとその後の品質保証はほぼ考慮されなかった。
 現代: スマート家電やウェアラブルデバイスなどのIoTデバイスは、リリース後も定期的にファームウェアのアップデートが行われ、新しい機能の追加やセキュリティの強化が行われる。
 
「クラウドサービス」
  かつて: ソフトウェアはローカルのコンピュータ上で動作し、サーバーとの連携は限定的だった。
  現代: クラウドベースのサービスやアプリケーションは、リリース後も継続的にデータの監視や品質の改善が行われる。

サービスのダウンタイムやパフォーマンスの問題は、リアルタイムで対応されることが一般的。
 
ソフトウェアや製品がネットワークと常に接続できるようになったことで以下のような継続的な品質保証が必要となります。
 
・ユーザーからのフィードバックや問題報告がリアルタイムで受け取れるようになった
 →企業は迅速に対応し、品質の向上を図ることが求められるように。
・サイバー攻撃のリスクが高まった
 →定期的なセキュリティアップデートやパッチの適用が必要となる。
・クラウドサービスやオンラインアプリケーションは、24時間365日稼働している
 →サービスの品質を維持し続けるための監視やメンテナンスが不可欠となる。
・ユーザーは多くの選択肢を持っており、品質の低い製品やサービスはすぐに取り替えられる可能性がある
 →継続的な品質向上がビジネスの成功の鍵となる
 
継続的な品質保証と改善が不可欠となると疲れてしまいそうですが、技術の進化とともに、品質保証のプロセスやツールも進化しており、多くの点で作業の効率化や自動化が進められています。自動化テストツール、監視とアラートツール、アジャイルやDevOpsのアプローチ、クラウドサービスの利用など。そして、技術やツールを適切に活用し効果的な結果を出すためには、人間の継続的な学びや改善が不可欠となります。


「品質」の3つのレベル

「品質」には3つのレベルがあります。 
それに基づいて、テレビ(TV)の機能を例に考えてみると以下のようになります。

第一レベル:顧客の基本的要求への適合(顧客苦情解消 CCR)

 - TVの例:
     - 明るく鮮明な画面表示
     - 適切な音量と音質
     - リモコンやボタンでの基本的な操作性(チャンネル切り替え、音量調整など)
     - 電源のオン/オフがスムーズに行える

第二レベル:明示された顧客要求の満足(顧客満足 CS)

 - TVの例:
     - 高解像度や4K、8Kの画質
     - スマートTV機能(インターネット接続、アプリ利用など)
     - 複数の入力端子や接続オプション(HDMI, USBなど)
     - エネルギー効率の良さやエコモード機能

第三レベル:顧客の期待を超えた歓喜を実現(顧客の潜在欲求実現 CD)

- TVの例:
     - 曲面ディスプレイや超薄型デザイン
     - AIを活用した音声認識や画像最適化機能
     - 独自の映像技術やサウンド技術での没入感の向上
     - 家電との連携やスマートホーム統合機能

第三レベルの品質が製品やサービスに加えられると、顧客の期待を超えて感動を与え、製品やサービスの差別化や市場での競争優位を築くことができます。


魅力的品質のライフサイクル

今年のソフトウェア品質シンポジウム(主催:一般財団法人日本科学技術連盟)でも「魅力的品質」をメインテーマとして魅力的品質理論を提唱された東京理科大学 名誉教授 狩野 紀昭(かのう のりあき)先生の講演もありました。狩野先生の講演を拝聴する機会を得て、その内容に触れることができましたので、感想を共有させていただきます。
 
「魅力的品質」は絶対的なものではなく、時と共に変遷するライフサイクルがあります。
 
ー魅力的品質のライフサイクルー
無関心品質(無くても困らない)
 ⇒魅力的品質(あるといいな♪)
 ⇒一元品質(無いと困る)
 ⇒当たり前品質(無いと困るけどあって当たり前)


魅力が薄れてしまっては、一大事です!
「当たり前の品質」を「魅力的品質」に戻すにはどうすればよいのでしょうか。
講演では「顧客の行動からその潜在要求を実現すると魅力的な新規商品になる」事例が紹介されていました。
その際、「顧客の意見は現在の製品についての品質改善しか出てこないので、顧客に聞いても意味がない」と仰っていたのが目から鱗でした。
潜在要求を見つけるには、顧客ではない人にもインタビューをして情報収集を行い、データも併せて俯瞰して観察する必要があるとのこと。
ここでも人間の努力、継続的な学びや改善が不可欠となりました。


では、人間が継続的な学びや改善を行うためには何が必要なのでしょうか。


・学びや改善を実践する意欲やモチベーション
・明確な目標やビジョン
・日常のルーチンとして学びや改善の活動を組み込む
・学習教材、ツール、コース、セミナーなど、学びをサポートするリソースのアクセス
・他者からのフィードバックや評価を受け入れ、それを改善のための指針として活用する
・失敗を学びの一部と捉え、それを次の成功へのステップとして活用する柔軟な思考
・定期的に自分自身の進捗や成果を評価し、必要に応じて学びの方法や内容を見直す
・学びの仲間やグループとの交流
・効率的な時間管理を行い、学びや改善のための時間を確保する
・新しいことに対する興味や好奇心を持ち続ける


まとめ

これからの時代に一番必要なのは「好奇心」と聞いたことがあります。
当たり前・変わらない・仕方ない、と思っていたことに注目して改善する。
新しい商品やサービスの開発に限らず、日常的な問題に対しても役立つ視点だと思います。
 
シンポジウムに参加するまでは、モヤっとしていた「品質」ですが最高峰となる基準が明確となりました。日々の業務でも日常生活でも「魅力的品質」を目指し、追及を続けていきたいと思います!
 
以上、ここまでお読みいただきましてありがとうございました。



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