導入事例

INTERVIEW

株式会社バンダイナムコオンライン様

                                ポールトゥウィン 鈴木                バンダイナムコオンライン 柴田様                     

取材協力     :株式会社バンダイナムコオンライン 事業本部 品質保証部 ゼネラルマネージャー 

          柴田様(企業URL https://www.bandainamco-ol.co.jp/ja/

インタビュアー  :ポールトゥウィン株式会社 営業本部 エンターテインメント営業部 

          鈴木 (バンダイナムコオンライン様を担当、チームリーダーとしてメンバー育成も務める)

導入サービス   :カスタマーサポート・カスタマーサービス(お客様問い合わせ対応)

          ゲームデバッグサービス(動作テストによる不具合検知・機能検証)

2009年の設立以来、PC・スマートフォン・家庭用ゲーム機など多様なデバイスでオンラインゲームを展開する株式会社バンダイナムコオンライン様。2023年6月には待望のオリジナル新作IP、オンラインアクションRPG「BLUE PROTOCOL」もリリースされ、国内外・世代を問わず、多くの人々を楽しませるコンテンツを提供されています。今回は、品質保証部 ゼネラルマネージャーの柴田様にご協力いただき、弊社の各種ゲーム支援事業の導入効果や活用状況、今後の展望などをお聞きしました。

カスタマーサービス&サポート両立に向けたコンテンツ作りのパートナー

鈴 木:本日はお時間いただきありがとうございます!早速ですが、先ずは柴田様の担当業務ついて教えていただけますでしょうか。

柴田様:はい、私たち品質保証部では、お客様への安心・安全なサービス提供に向け、品質基準の策定や製品・ソフトウェアのテスト、カスタマーサービス・カスタマーサポート業務などを担当しています。また、小さなお子様でも安心して遊べる表現・製品になっているかなど、コンテンツの表現・倫理性の審査も行っています。 

鈴 木:御社が提供するコンテンツは、幅広い世代に愛されていると感じます。特に、未成年向けのカテゴリーに対する安全への配慮は印象的です。子供を持つ私としても、製品の品質や使われる表現には特に敏感ですし、その影響の大きさもよく理解しています。御社のサービスは、子供たちが安心して楽しめるだけでなく、親も安心して与えられますね。

 

鈴 木:では、弊社サービス導入前に御社が抱えていた課題を教えていただけますか。

柴田様:ゲームデバッグサービス(以降「デバッグ」)は、私が入社した時には既にお願いしていたので、今回は、カスタマーサービス・サポートに関する当時の課題をお話ししますね。

このカスタマーサービスとカスタマーサポートって、言葉が似ていて区別が難しいと思いますが、弊社では、「カスタマーサポート」は、ゲームの不具合に対するご案内のように、幅広いお客様に公平に対応することが役割だと考えています。

一方で「カスタマーサービス」の役割は、ファンエンゲージメント(=ファンとの強く深い関係性)を推し進め、ファンと共にコンテンツを作り上げていくことだと思っています。

その前提を踏まえ、以前の弊社は、「カスタマーサポート」に完全に特化してしまっており、より良いゲーム作りに必要なお客様との関係性構築、つまり「カスタマーサービス」の要素が欠けていることを課題と感じていました。そのため、サポートとサービスの両立を実現し、コンテンツを一緒に作り上げていけるパートナー企業を探していました。

 

鈴 木:その際、弊社を選んでいただいたきっかけや決め手は何でしょうか?

柴田様:当時のピットクルー(現在はポールトゥウィンへ吸収合併)さんからご提案をいただいた際、弊社が求めるファンエンゲージメントとカスタマーサポートの進化に共感いただき、かつ、一緒に作り上げるという強い思いを、お会いした皆様から感じたことが決め手になりましたね。

また、ゲームの不具合や仕様に対して迅速に回答する仕組み作りを組織として更に強化するため、「カスタマー」と「ゲームデバッグ(不具合検知)」の連携体制を組みたいという構想を持っていたのですが、その実現へのご提案をいただけたことも決め手のひとつでした。

鈴 木:私としても、開始当初から今に至るまで、御社と一緒に作り上げたチームという実感があります。お客様からの評価の受け取り方や品質向上への取り組みなど、本当にいつも勉強させていただいているなと思っています。

柴田様:いえいえ、ポールトゥウィン(以降、PTW)さんから学んだこと・助けられたことも多いです。一緒に学ばせていただいたと思います。

鈴 木:ありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいですね。

 

ファンエンゲージメントの高まり、カスタマー領域の改革を実感

鈴 木:次に、弊社サービス導入後の変化や良かった点は何かありますか?

柴田様:はい、先ほど課題として述べたカスタマーサービス対応の部分が大きく改善されたことで、理想としていたサポートとサービスの両立体制が構築できました。これにより、以前よりもゲームへのファンエンゲージメントを高めることができたと思います。

特に成長ストーリーがテーマのタイトルでは、カスタマー対応によるファンエンゲージメントの効果が顕著でした。お問い合わせへ集まるゲームの世界観やキャラクターへの様々な意見や想いを受け取りながら、お客様と共にコンテンツを作り上げることが実感できたのが良かったですね。

鈴 木:弊社としても、この取り組みは業務の可能性が広がる学びになりました。

柴田様:他にも、カスタマーサービス・サポートにおけるプラスの変化として驚いたのは、お客様自身がネット上でこの変化を発信されていたことですね。

PTWさんにご依頼した後、「○○の窓口対応って最近変わったな」「丁寧で分かりやすくて良かった」などのネット投稿が徐々に増えました。お問い合わせいただくお客様の反応の変化があれば、必ずインフルエンサーの変化も見られると思っていましたが想定を超えるものでした。これらお客様の声から様々なゲームやコンテンツの改善も進み、タイトルの業績アップにも大きく貢献いただきました。

鈴 木:弊社としても、一つずつ試行錯誤を積み上げてきた成果だと感じています。最初はお客様からの評価・満足度アンケート数値も低く、弊社現場チームも苦しかったと思います。それが、ある日を境に評価数値が良くなりはじめ、御社とワンチームになり一緒にステップアップしたと強く感じたことを覚えています。

 

柴田様:次に、検証・デバッグ面での変化ですが、致命的なバグ(不具合)は減りましたね。弊社では、ゲームやコンテンツの品質の基準としてUX(ユーザーエクスペリエンス)を大切にしています。それには、機能性や安全性が重要になりますが、PTWさんに高いレベルで検証・デバッグを行っていただいていることで、それらが確保できていると感じます。お客様がゲームプレイに没頭できるのも、PTWさんのおかげだと感謝しています。

鈴 木:弊社としても、ユーザー視点でのテスト設計・テスト実行は大切にしているところなので、お客様がゲームに集中してもらえるようになると非常に嬉しいですね。

柴田様:あとは、これら効果を出していただいている分、カスタマー対応でのお客様の声、デバッグ対応での修正箇所をスムーズに検討や反映していくなど、弊社側も開発体制や運用面をもっと改善しないといけないなと思いますね。その点では、PTWさんにもどかしい思いをさせているなとも感じます。 

鈴 木:私は柴田さんのこのようなお言葉にいつも救われています! 現場チームにも同じように声掛けをいただくことがあり、そのおかげで、皆がやりやすさを感じて、意見を出し合える関係性ができたと思っています。ありがとうございます。

 

高いテスト設計能力と、お客様の視点・心情を理解したテスト実行

鈴 木:実際に弊社サービスを利用してみて、他社との比較ポイントやメリットはありますか?

柴田様:カスタマー領域は先ほどの通り、弊社の課題解決への姿勢やカスタマー/デバッグ連携実現などになるため、今度はゲームデバッグ領域で感じたポイントをお話ししますね。

大きく3つありまして、まずは、ゲーム検証機材に困らせないところですね。PCゲームが高性能になるにつれて、検証作業にも非常に高いスペックの機材が必要になっていきます。そんな中で、PTWさんでは必要な検証機材が既に一通り揃っている点に非常にありがたみを感じますね。

次に、テスト設計能力です。お願いする会社さんの作ったテスト設計書には私自身で目を通しますが、PTWさんは優秀なテスト設計者が多いと思います。このテスト設計って、誰でも出来るものではなく、テストへの経験値や製品に関する知見も多く必要になると思っています。PTWさんはゲーム製品への理解が深く、動作テストへの知見が豊富なので、不具合検知率も高いですね。

最後に、設計だけでなくテスト実行のスキルも高く、特に、総合テストと運用テストの能力は素晴らしいなと感じます。このフェーズのテストは、お客様視点でのチェックやお客様の気持ちを理解していることが重要になると思っています。先ほどのテスト設計を含め、PTWさんのゲームデバッグサービスは、過去のテスト経験の蓄積がすごく活かされているなと思いますね。

鈴 木:そうですね。経験値やセンス、感覚も重要になることってありますね。

柴田様:はい、すごくクリエイティブな仕事をしているなと思います。

(柴田様作成のベンダー比較 業務観点を分かりやすくまとめていただいた)

 

CS×バッグ連携で満足度向上!共同成果となるHDI格付け三ツ星獲得の快挙!

鈴 木:実際に御社として得られた成果(具体的な数値) などはありますか?

柴田様:まず、「カスタマー対応とデバッグ業務の連携」による顧客満足度アンケートのスコア改善がありますね。アンケートはいくつかのカテゴリーがありますが、中でも重要な「ゲームプレイへの質問」への回答評価が60%台から80%を超える数値へ大幅に向上しました。その結果、満足度の全体スコアも引き上げています。

通常、カスタマー対応業務内だけでゲームの仕様を深く理解するって、レクチャーにも時間がかかり難しいと思います。そこで、デバッグ作業側で持つゲーム仕様やコンテンツ知識など多くの情報をカスタマーサポート・サービス部隊へ共有・連携することで、あらゆる質問へも高い精度とスピードをもって回答することができます。その仕組みがPTWさんの協力もあって実現できたことで、この顧客満足度アンケートのスコア向上ができたと思います。

鈴 木:デバッグとカスタマー連携に取り組みたいというご希望をよくいただくのですがここまで構築できた成功事例は初めてじゃないかなと思います。この成功体験は弊社にとっても本当に貴重なものになっていますし、御社のご協力があったからこそだと感じています。

 

柴田様:また、ゲームユーザーに限らず、広く客観的に弊社サービスを評価するため、HDI格付けベンチマーク調査(※)を実施したのですが、そこでも高いスコアを出していただき、最高評価の三ツ星を獲得することができました。これについては、PTWさんのこれまで磨き上げたスキルやパフォーマンス、粘り強い改善活動の成果だと思っています。市場全体で見ても、高い品質で対応できていることが実証できたことは、弊社としても非常に誇らしいですね。 

(※)HDI(Help Desk Institute ヘルプデスク協会)はITサポートサービスの世界最大のメンバーシップ団体であり、企業の問合せ窓口のパフォーマンスやクオリティを評価・格付けを行っています。

鈴 木:これはもう弊社内でも関係者全員で喜びましたね。そして、皆の自信にも繋がりました。この件で授賞式のライブ配信があった時も、これまで現場チームが乗り越えてきた苦労や、御社と一緒になって試行錯誤した出来事などを思い出して、ほんとうに感動しました。

柴田様:そうですね。お問い合わせ対応においては、PTWさんとは一から業務体制を共に築いてきたので、この三ツ星はPTWさん共に成し遂げた成果だと感じています。カスタマーサービス部分の成長過程など、共に多くの困難を乗り越えたと思います。

鈴 木:ありがとうございます。私達も、お客様の評価や満足度の向上を目の当たりにして、御社と一緒にステップアップした実感があります。

(2022年度 HDI格付けベンチマーク調査 結果スコア)

(HDI格付けベンチマーク調査 三ツ星獲得表彰状)

鈴 木:弊社現場チームの仕事ぶりへの感想や印象に残った出来事はありますか?

柴田様:はい、全体の印象として、カスタマー・デバッグ両チームに言えるのですが、お客様の気持ちを誰よりも理解しながら仕事をしていると感じますね。また、エンターテインメントとしての回答にも気を付けている現場の皆さんにはいつも感謝をしています。

先ほどお伝えしたHDI格付け調査結果の授賞式でも、カスタマーチームのリーダーさんが「我々はエンターテインメント業界の仕事をしているので、エンターテインメント性のある回答をしていくべきだと思っています」と発言されていて、あれにはすごく感動しました。弊社からの意向や御社内の意見と自身の思いなど、色々なせめぎ合いや葛藤もあったかと思いますが、その中でのあの意欲ある発言は素晴らしいなと。

鈴 木:そうですね。彼女(QC:クオリティコントロール)も御社との仕事の中で急成長しました。自分らしさをうまく出しながらお客様対応ができるようになってからは、お客様との距離も縮まったような気がします。それら一つ一つの経験が自信にも繋がっているのが分かりますし、本当に誇らしいです。そういった各スタッフの頑張りが、御社やゲームユーザー様からの評価に繋がっていると実感します。

(※)QC…オペレーターの接客品質に対してモニターやフィードバックを行う業務

 

お客様の声とPTWの力を活かし、さらに質の高いオンラインコンテンツ提供へ

鈴 木:今後の展望や取り組みについて教えてください。

柴田様:はい、導入後の変化のところで、UXにおける「機能性」「安全性」の話をしましたが、次のレイヤーに「便利さ」「使いやすさ」があります。今後はこの部分もPTWさんと共に取り組んでいきたいと考えています。

それには、先ほどのカスタマー対応とデバッグ/テスト業務の連携運用が重要になると考えています。実際にお客様が弊社の製品・サービスを使ってみてどう感じたか?という声をキャッチして、そこからどんなテストをしながら、使いやすさをどう改善させていくか、という一連のサイクルにPTWさんの力を貸していただきたいと思っています。そこから、お客様の声を各製品やサービスに活かし、ゲーム・コンテンツの質も上げていきたいですね。

 

鈴 木:では最後に、今後のポールトゥウィンに求めることを教えてください。

柴田様:そうですね。PTWさんの能力を最大限に活かすためにシステム面の整備や工夫に取り組んでいただきたいと思っています。優秀な人材・知見やノウハウは揃っており、対応品質にも非常に満足しています。ここにシステムの力を借りることで、さらに人材リソースの有効活用が進み、業務効率やパフォーマンスも更に伸びていくと考えていますので、引き続きPTWさんには期待しています。

鈴 木:ありがとうございます。今後の改善にも取り入れていきたいと思います。

柴田様:はい、よりたくさんのお客様に心地よくゲームプレイいただくために、これからも力を貸していただければと思います。

鈴 木:本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!