ブラックボックステストとは?テスト技法と特徴、ホワイトボックステストの違いを詳しく解説

    こんにちは!ポールトゥウィンオウンドメディアチームです。<br />
ソフトウェア開発の現場では、ソフトウェアの品質を確保するために様々なテスト手法から適切な手法を選択し、テストプロセスを実施しています。<br />
今回は、その中でもブラックボックステスト手法に焦点を当て、ブラックボックステストとは何か、ホワイトボックステストとの違い、ブラックボックステストのメリット・デメリットについて解説します。<br />
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    こんにちは!ポールトゥウィンオウンドメディアチームです。
    ソフトウェア開発の現場では、ソフトウェアの品質を確保するために様々なテスト手法から適切な手法を選択し、テストプロセスを実施しています。
    今回は、その中でもブラックボックステスト手法に焦点を当て、ブラックボックステストとは何か、ホワイトボックステストとの違い、ブラックボックステストのメリット・デメリットについて解説します。

    ブラックボックステストとは

    ブラックボックステストとは、要求仕様に基づいてソフトウェアの内部構造やコードの詳細を参照することなく、要求仕様が明確に定義されていることを前提に、外部の動作やインターフェースをテストします。

    ソフトウェアテスト教科書 JSTQB Foundation 第4版 シラバス2018対応では、「ブラックボックステスト技法は、テストアイテムやテスト条件に対する要件、つまり仕様が明らかになっていることを前提にしてテスト設計する技法」と解説しています。

    ソフトウェアをブラックボックスとして扱い、入力データと出力データのみに注目します。この方法を使うことで、テストの独立性が高まり、ユーザーの視点からソフトウェアを評価することができます。

    例えば、電子書籍のWebストアの検索機能を考えてみましょう。
    ユーザーがWebサイトを訪れ、特定の本のタイトルを検索する場面を想像してください。ユーザーは検索バーに「ハリー・ポッターと賢者の石」と入力し、検索ボタンをクリックします。ここで行われるのは、ブラックボックステストの典型的な手順です。テストエンジニアはソフトウェアの内部構造やコードを見ずに、以下の点を確認します。

    ・検索結果の適合性
    システムが「ハリー・ポッターと賢者の石」というキーワードに対して適切な本を返しているかどうかを確認します。つまり、検索結果にはユーザーが望む本が含まれているかを確認します。

    ・検索の正確性
    ユーザーが正確なタイトルを入力した場合でも、システムがそれを正しく解釈しているかどうかを確認します。例えば、「ハリーポッター」と誤って入力した場合でも、「ハリー・ポッターと賢者の石」という正しいタイトルの本が検索結果に含まれているかどうかを確認します。

    ・検索の迅速性
    ユーザーが検索ボタンをクリックしてから、検索結果が表示されるまでの時間が適切であるかどうかを確認します。ユーザーは迅速な結果を期待していますので、システムの応答時間も重要な指標です。

    このように、ブラックボックステストではユーザーが期待する動作が正常に行われるかどうかを確認しますが、その背後にあるコードの詳細や内部の処理には直接関わりません。

    ブラックボックステストで使われる主なテスト技法

    ブラックボックステストで使われる主なテスト技法には、同値分割法、境界値分析、デシジョンテーブルテスト、状態遷移テスト、ユースケーステストなどがあります。

    同値分割法

    同値分割法は、特定の条件で複数の値をグループ分けし、それぞれのグループごとにテストケースを設計することで、テストの効率を高める手法です。この手法では、同等の振る舞いが予想される入力や条件を同値パーティションとして扱い、各パーティションから1つ以上のテストケースを選択してテストを行います。これにより、広範囲で重要なケースを網羅的にテストし、不要なテストケースを省くことができます。


    テスト効率を最大化するテクニック「同値分割法」とは?

    境界値分析

    境界値分析は、複数の値を特定の条件でグループ分けし、不具合が最も発生しやすい「境界」に焦点を当てるテスト手法の一つです。この手法は、システムが異常な振る舞いを示す可能性を減らし、品質を向上させることが期待されます。具体的なデータや条件に焦点を当てることで、テストの網羅性が向上し、ユーザーエクスペリエンスの改善とシステムの安定性向上が期待されます。

    基本から学ぶ境界値分析 同値分割法との違いとは?

    デシジョンテーブルテスト

    デシジョンテーブルテストは、複数の条件に応じてソフトウェアがどのように振る舞うかを確認するテスト方法です。条件とその結果を表形式で整理し、テストケースを作成します。条件や結果が増えると複雑になる欠点がありますが、複数の条件や結果を網羅的にテストできる利点があります。

    状態遷移テスト

    状態遷移テストは、状態遷移図や状態遷移表を用いて、ソフトウェアがある状態から別の状態に移行するときの動作をテストします。具体的な状態とその移行を定義し、それに基づいてテストケースを作成します。各状態やイベントの組み合わせをテストし、期待通りの動作であるかを確認します。ソフトウェアの各状態が明確になることで、テストケースの設計が容易になり、不具合の発見や修正が迅速に行えることが利点です。

    ユースケーステスト

    ユースケーステストは、ユーザーの視点からソフトウェアの利用シナリオを定義し、それらのシナリオに基づいてテストケースを設計します。ユーザーの視点からソフトウェアをテストするため、ユーザーエクスペリエンスの向上やソフトウェアの品質向上に繋がります。

    ブラックボックステストとホワイトボックステストの比較

    ブラックボックステストとホワイトボックステストの違いとして、ブラックボックステストは内部構造やコードの詳細を考慮せずにテストを行うのに対し、ホワイトボックステストは内部構造やコードの詳細を理解した上でテストを行います。
    したがって、ブラックボックステストはユーザーの視点からのテストであり、ホワイトボックステストは開発者の視点からのテストと言えます。

    ブラックボックステスト ホワイト
    目的ユーザーの視点から、ソフトウェアが要件を満たし、期待通りに動作するかを確認する。 開発者の視点から、プログラムのロジックや条件分岐、変数の挙動などを確認して、ソフトウェアの正確性や品質を確保する。
    概要ソフトウェアの内部構造には焦点を当てず、外部の入力と出力の動作に注目する。 アプリケーションを外部から見た際の振る舞いに焦点を当て、内部の実装の詳細は考慮しない。 ユーザー視点 内部構造を気にする必要がないためソフトウェアテストの知識があれば、実施できる。ソフトウェアの仕組みやコードの構造に焦点を当てる。 アプリケーションの内部構造、コード、アルゴリズムなどを理解し、テストケースを設計する。
    視点ユーザー視点
    内部構造を気にする必要がないためソフトウェアテストの知識があれば、実施できる。
    開発者視点
    テスト対象のコードや内部構造を理解することが前提なため、開発者が行う。
    ブラックボックステストの利点

    ブラックボックステストは、ソフトウェアの外部からの視点で機能をテストする手法であり、いくつかの利点があります。以下に、ブラックボックステストの利点を紹介します。

    ・ユーザーの視点からのテストが可能
    ブラックボックステストは、ユーザーの立場に立ってテストを行うため、実際のユーザーが行う操作を模倣します。例えば、Webサイトのログイン機能をテストする場合、ユーザーがログインしようとする際の一連の流れを考え、その状況に即したテストケースを作成します。この方法により、実際のユーザーが直面するであろう問題やバグをより正確に特定し、改善することができます。

    ・テストケースの簡単な設計
    ブラックボックステストは、内部構造を考慮する必要がないため、テストケースの設計が比較的容易です。条件や動作に関する要件が明確であれば、すぐにテストケースを作成することができます。例えば、ログイン機能のテストケースを作成する際には、正しいパスワードでログインできる場合と、間違ったパスワードを入力した場合の2つの基本的なケースを網羅することができます。このアプローチにより、テストの効率が向上し、開発プロセスのスピードアップに繋がります。

    ブラックボックステストの利点は、開発者がソフトウェアの内部構造や実装の詳細に精通していなくても、効果的なテストを行うことができる点にあります。

    ブラックボックステストで見逃されがちな不具合

    ブラックボックステストは、ソフトウェアの外部からの観点で機能をテストする手法ですが、その特性ゆえにいくつかの不具合が見逃されることがあります。これらの不具合は、主に内部処理や仕様の変更、非機能的要件の見落としなどが原因です。

    ・内部処理の不備
    ブラックボックステストでは、ソフトウェアの入力と出力のみを確認します。そのため、内部でのデータの処理が適切でなくても、外部から見た振る舞いには影響が出ない場合があります。例えば、画面表示やエラー処理が外部には正常に見える不具合であっても、内部の処理が十分でないことが後から判明することがあります。

    ・仕様変更の漏れ
    ソフトウェアの仕様が変更された際、その変更が仕様書に反映されずに残ってしまうことがあります。この場合、ブラックボックステストでは新たな条件や要件がテストされずに見過ごされ、不具合が生じる可能性があります。

    ・非機能要件の見落とし
    ブラックボックステストは、主に機能面をテストするため、同時アクセスや負荷などの非機能要件は見落とされがちです。実際の運用環境で発生する可能性のある問題をテストすることが難しく、それらの不具合が見過ごされることがあります。

    これらの不具合を防ぐためには、ブラックボックステストとホワイトボックステストの両方を取り入れ、ユーザーの視点からのテストに加え、ソフトウェアの内部構造を考慮したテストを実施することで、テストカバレッジを高め、不具合を見落とすリスクを軽減することができます。

    まとめ

    ブラックボックステストは、内部構造やコードの詳細を考慮せずソフトウェアの外部動作をテストする手法です。主なテスト技法には同値分割法、境界値分析、デシジョンテーブルテスト、状態遷移テスト、ユースケーステストがあります。ブラックボックステストとホワイトボックステスト、それぞれの利点や欠点を理解し、適切なテスト手法を選択して、開発プロセスの効率化と品質向上を図りましょう。

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