ITインフラを移行するケース
IT分野の基幹設備(インフラストラクチャー)を指すITインフラですが、システムの老朽化や企業活動の変化などで、別のインフラ環境へ移行をするケースがあります。ここでは、IT業界でよく見かけるケースをご紹介します。
オンプレミス環境(物理的な機器)でITインフラを構築した場合、運用年数の経過に伴いハードウェアが老朽化し、故障率が増加します。そのため、定期的にハードウェアのリプレイス(取り換え・交換)を計画する必要があります。
例えば、オンプレミス環境の場合、ストレージの容量不足が起きないように、予め大きいサイズのストレージを用意しておく必要がありますが、クラウドであればディスク容量の拡張が容易にできるためストレージのコストを削減することができます。また、ハードウェアの保守費用などが不要になるため維持費の削減にも繋がります。
クラウド環境への移行手順
今回は、オンプレミスからクラウドへの移行を例に、基本的な手順をご紹介します。
STEP1.現状把握
既存のオンプレミス環境の現状評価・構成の把握を行い、移行対象となるシステムとアプリケーションを特定します。また、クラウド移行作業に伴う期限/予算なども合わせて確認します。
STEP2.アプリケーションの評価
移行対象となるアプリケーションの評価を行い、移行の可否と適切なクラウドサービスの選定を行います。アプリケーションが利用しているデータの依存関係や特性を確認しクラウド環境への移行計画を作成します。
STEP3.クラウド環境のセットアップ
移行先のクラウド環境でアカウントを作成し、移行先で利用するサービスやリソースの設定を行います。事前に確認したシステムのネットワーク構成やセキュリティ設定をもとにクラウド環境上に環境の構築を行います。
STEP4.データ移行
データ移行は、ITインフラのクラウド移行作業における重要な工程です。データの正確性と一貫性を確保するために、バックアップ、テスト、整合性の確認などを適切に行います。また、データのクレンジングと変換、テスト移行と検証・評価を行い、実際のデータを移行させます。
STEP5.クラウド環境上でのテストと検証
クラウド環境へ移行後のアプリケーションやサービスが正常に動作していることを確認するために本番切り替え前に事前にテストと検証を実施します。
STEP6.本番環境への切り替え
テストに問題ないことが確認できましたら、オンプレミス環境からクラウド環境への切り替えスケジュールを調整し、切り替えを実施します。
クラウド環境移行への注意点
クラウド環境へ移行する場合は下記の点に注意が必要です。
適切なクラウドサービスを選定するためには、移行前のパフォーマンス要件を明確に把握し、負荷テストや性能評価を行い、現状のアプリケーションやシステムの要件を満たすサービスを選択します。
コストとパフォーマンスのバランスを考慮し、過剰なリソースを持つサービスを避けることで、無駄なコストを防ぎ、効率的なクラウド環境を構築します。
パブリッククラウドではオンプレミス環境以上にアクセス権について慎重になる必要があります。過剰なアクセス権を与えたユーザーや外部からのアクセス制限に対して適切に設定しなければ、情報漏洩や不正利用などに繋がる恐れがあります。その為、最小限の必要なアクセス権限を持つユーザーを定義し、過剰なアクセス権を与えないようにします。
また、多要素認証やアクセスログの監視、IPアドレスによるアクセス制限などの仕組みを導入することで、外部からの不正アクセスも防止します。
データ移行前にはバックアップを取り、移行中や移行後に問題が発生した場合に備えて復元プロセスを確立しましょう。データの損失を最小限に抑えるためにも、バックアップ計画を構築することが重要です。また、移行後のデータの整合性と一貫性を確保するため、データマッピング・変換の正確性を確認する必要があります。
移行後のデータ品質を定期的にチェックし、問題の早期発見と対応を行うことで、データの損失を防止します。
まとめ
クラウド環境への移行は慎重な計画と準備が必要です。パフォーマンスの適切な選定、セキュリティ対策の強化、データのチェックと検証を行うことで、スムーズかつ安全な移行を実現できます。自社のニーズに合わせた最適な移行プランを立ててみましょう。
ちなみに、PTWでは、「環境構築・移行サポート」サービスを展開しております。
クラウド環境・オンプレミス環境問わず、ITインフラの構築や移行作業を支援しております。
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